後鼻神経切断術(経鼻腔翼突管神経切除術)

後鼻神経切断術重症のアレルギー性鼻炎、血管運動性鼻炎に対する手術治療であり、内視鏡下に後鼻神経(翼突管神経後鼻枝)を切断する手術です。

後鼻神経とは蝶口蓋孔という鼻腔後方で鼻の外側から鼻腔内に入ってくる蝶口蓋動脈が通る部位において動脈と伴走する神経であり、この神経を切断することで下鼻甲介からの鼻汁分泌量の抑制、下鼻甲介の後方の知覚が鈍ることにより過剰なむずむず感やくしゃみの軽減などが期待できます。

当院では粘膜下下鼻甲介骨切除術と組み合わせて行うことが多いです。

手術の流れ

  1. 鼻腔の後方で粘膜を切開し、粘膜を慎重に剥離していき、蝶口蓋動脈と後鼻神経が束になって走行する場所をみつけます。
  2. 動脈と神経を分け、神経のみを切断します。(動脈ごと焼灼して切断する方法もあります)
  3. 切断部に止血剤を置きます。

後鼻神経切断術自体は両側で30分程度の手術時間ですが、他の手術との組み合わせで全体の手術時間は変わります。
蝶口蓋孔周囲で神経を切断する際に痛みがあるため、当院ではこの手術を全身麻酔で行っています。

下記の術例は、粘膜下下鼻甲介骨切除術と組み合わせでの術例となります。下鼻甲介の除去後、後鼻神経の切断を行います。

粘膜下下鼻甲介骨切除術1
鼻腔の手前にある下鼻甲介をメスで切開します
粘膜下下鼻甲介骨切除術2
露出した下鼻甲介骨を丁寧に剥離させます
粘膜下下鼻甲介骨切除術3
剥離させた下鼻甲介骨を除去します
後鼻神経切断術1
鼻腔の後方で粘膜を切開し、動脈と神経を分け、神経のみを切断します

手術の効果・注意点

当院の術後のアンケート調査結果では、くしゃみ・鼻汁は70%のケースで、鼻づまりに関しては粘膜下下鼻甲介骨切除術を併せて行う事で、90%以上のケースで症状改善が期待できる報告を頂いています。

術後は1週間近く一時的に鼻づまりが強くなってしまいますが、鼻洗浄などをしていただくことで改善までの時間が短くなります。

また、稀なケースですが、術後2週間目ごろに創部から出血することがあるので、術後2週間の運動・飲酒の禁止と、術後1か月間は海外旅行や出張を避けていただくよう手術時にご説明しています。

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